フチに印をつける工具の研究(後編)
こんばんは( ´ ▽ ` )ノ
日本革工芸展の作品製作、その後の燃え尽きでオーダーメイドが滞っていましたが今日になってやっと製作の打ち合わせが概ね終わりました♪ リピートしてくださる方との打ち合わせは本当に話が早いです。種類は違いますが僕が作ったアイテムがオーダー主さんの手元にあるとお互い話が分かりやすいんだと思います。あと、妥協しないで作っていますからその熱意が伝わると次のオーダーの打ち合わせの際「お任せ」と言って頂けます。本当に助かっていますありがとうございます。 いつも通り頑張って作らせて頂きます(^_^)v それでは本題の方を♪ このブログ記事は前回書いている途中で、かなりくどく長たらしい文章になってしまいそうだな、、すぐ脱線するし、、と思ったので前編と後編に分けて今回で書き上げようと思います。脱線はかなりします(笑) 前編はこちらです。 今回は捻についてです。切り離して書くと説明しずらいので少し手縫いについても触れます。 先日購入させて頂いたTANIK leatherさんのEdgeStickのレビューも書いてみます。 まず先にEdgeStickから♪ 通常のタイプの平べったい金属に溝が入っている捻は内Rがキツイと思います。だから僕はなるべく内Rのキツくないデザインにする癖がついています。 でもこのEdgeStickがあればこの縛りがなくなりそうです。 先端の仕上がり方はかなり精度高いと思います。 この完成度でこの価格は安い!と言うのが第一印象です。 緑の革をチョイスしたせいか屋号刻印がはっきり写りませんでしたσ(^_^;) こうやって引いて使うんだと思います。 内Rもバッチリです♪ 先端の構造をみると左右の段差がありフチが丸くなる一般的にいう玉ネンの構造です。段差がありますがスティックタイプなので右利き、左利きのしばりがないのは嬉しいですね♪ もちろんこれ一本で全て捻入れしても良いのですが大作だと通常のタイプを併用したいところです。 それで通常のタイプの捻だとどの捻に対応しているのか?を検証してみました。 上からフロンティアのフチ捻、TANIK leatherのEdgeStick、岩田屋の玉ネンです。 (前回昔ながらの鍛冶屋さんなんて書きましたが岩田屋です。なんで名前伏せたんだろうといまさら思いました。これらを購入したさいはメール送っても届いていないと言われてこれは仕方ないな、、と思ってFAX送ったら発送の連絡なんてなしで到着して、納品書というかレシート的なものすらありませんでした。こんなものなのでしょうか?お陰で経費で落とせなかったので自腹です。) 微妙な違いなんですが近いのは岩田屋の玉ネンでした。 フロンティアのフチ捻もフチが玉状になるのですがエッジが立っているのでくっきりとした印象になります。それに対して岩田屋の玉ネンはエッジが立っていないので柔らかな玉状になります。 本当に微妙な違いですが、完成後の全体的な印象は変わると思います。 あと先端の構造をみると物理的には押しても引いても使える形状です。前回も触れましたが押した方が力が入ります。 それで押して見たのですが持ち手の革が下に下がってしまう感じでこの革巻きだとキツイかな?と思いました。あと金属部分がかなり剥き出しなのでアルコールランプで炙って使うのは怖いです。 金属の材質や厚みなどでも変わってくるので一概には言えませんが、僕の捻の温度の基準は金属の汗がひく感じと鼻に近づけて匂ってムンッっと感じる熱さです。なので結構炙ります。 革巻きをもっと厚めの革にしてそれを後ろまでガッツリ囲うように縫ってズレないようにすれば解消される問題なので、安心して炙ったり、押して使ったりしたければ自分でなおして使えば良いだけなのですが革巻きが可愛い感じで屋号刻印も入っているのであまりいじりたくないです。。 完成度高いと思う工具ってあまりいじりたくないですσ(^_^;) 一ユーザーのフィードバックのような事も書いてみました。こういう新しい工具ってどんどん良くなるものだと思っています(^_^)v それではここから数ある捻の研究結果にうつります。 今回はフチを斜め漉きして水で濡らさないでフチに段差をつけてみます。 こちらが完成形で様々な実験をしましたのでその詳細を書いてみます。 色んな角度から撮ってみました。細かなステッチの乱れはスルーでお願いします(笑) 書いてある寸法はコバからステッチラインの距離で 裏はこんな感じで斜め漉きです。 1.5mm厚の革のヘリを約半分の0.8mmに落としました。 色々とやってみましたよ♪ 1 金口押さえペンチ式(通常エンマやっとこ) もしかしたら段差つくかも?と思ってやってみましたがあんまり段差ができません。 よく考えたら当たり前です。 表と裏に均等に力が入るから表だけ段差つく訳がありません(笑) 2 ローラー これは上手くいくはず! と思ったのですがいがいと上手くいきませんでした。 もしかしたらローラーのエッジのところがベベリングされていて滑らかになっているからかもしれません。 あとコバから均等な幅を落とす事はまず不可能です。 3 へら 江戸べらとか言われてる洋裁なんかでも使う何かの骨のへらです。硬さの加減がいいです。 ぱっと見て上手くいっているような感じがしますが強い線がついてしまいました。これもローラー同様コバから均等に、、というのは無理です。 事前にネジねんなどで線をつけておけばOKかもしれません。 頑張ればできるかも! 4 ウッドスリッカー レザーメイトさとうオリジナルのウッドスリッカーは後ろ側をヘラとして使えると思います。 特にそういう説明書きはありませんでしたが構造的に僕はそう感じました。 これは僕の使い方のミスもあります。特に左側、、平らな面を水平にコバの段差をつけたいところに合わせて押せば上手くいきました。これも事前にネジねんなどで線をつければいいかもしれません。 5 フロンティアの押し捻 どうみても1番上手くいっています。 ガイドがあるので当然均等な幅を水平に落とす事ができます。 最初の頃使い方?先端の構造を理解できていなかったのですが、、通常はこんな感じでしょうか? がっつり力が一点に入る感じです。 薄い革の時はこの角度にすれば良いと思います。 革の厚みによってベストな角度があります! ガイドがそういう構造なので間違えはないと思います。 6 クリーサー(メーカー毎に名称が様々です) 段差をつけ更にフチを玉状にするアメリカの工具で、体重をかけて押して使う感じなのでがっつり圧がかかります。 確かに段差がでましたがフチは玉状です。そういう工具です。 結果こんな感じです。 水平に均等に段差をつける目的であれば、そのために開発されたフロンティアの押し捻が一番です。 なんですが、、ちょっと構造的に気になる事があります。 それは、押し捻が革に対して接地面積が広い分他の工具と比べて抵抗がかかる事です。簡単に言うと滑りが悪いです。 一定の広い幅を均等に水平に落とす工具だから構造的には間違えないですし理にかなっています。 滑りが悪くなる原因の一つとしてタンニン成分が先端につく事が挙げられるのはわかりました。他にもあるかもしれません。 僕はスーベルカッターの刃に着いたタンニン成分をとるのと同様の方法でルージュスティックで成分をとっています。ゴシゴシこすらなくて良いです。ちょっとなぞる程度です。 ルージュスティックの研磨能力なんてたかがしれてます。なぞったくらいで形状が変わる事なんかないです。 長くなりました。 次に捻の種類です。 色々あると思いますが、今回は2つに分けます。 印象についてはあくまで僕の私感です。 1 フチ捻 フチを押さえ、コバを少し立たせるような効果があります。先端の角度は職人さん個々に微妙な違いがあると思います。僕のフチ捻は加工して頂いたもので、その他のフチ捻はその形状に近づけるよう頑張って加工しました。 写真で少しわかるでしょうか? 断面を図で描くとこんな感じです。 コバが少し立つような感じで糸が擦れにくくなるのと、キリッとした印象になります。 僕の場合ですが、ビジネスマンスタイルの薄くてスッキリとした感じ、コバから狭い箇所にステッチラインを持っていってシャープな感じにしたのを更にシャープにする時に使います。 だいたいいつもはコバから2.5mmくらいのところにステッチラインを持っていきます。 この幅はクラフト社や協進エルの普通の菱目打ちで大きな穴を開けて縫うとコバがボコボコになります。 菱目打ちを軽く印をつける程度にしてシャープな菱錐で貫通させるイメージです。 僕は火打ちの高価な菱目打ちを使っていますが決して強くは打ちません。火打ちの菱目打ちも強く叩いてしまうとかなり大きな穴が開いてしまいます。 この幅の菱目打ちでもせいぜい2回くらい軽く叩いて印をつける程度です。 糸も細い穴に対応するようビニモの5番手を使いました。 上がビニモの5番手で下がビニモMTBの1番手です。太さが違って申し訳ないのですが、縫いやすさから言うと間違えなくビニモMTBです。ただ、ロウを入れるとくすんだ色になるので僕は普通のビニモが好みです。 ロウを入れないミシンだったらあまり影響ないのかもしれません。ビニモは元々ミシン糸ですからね♪ あと、針も細いのを使います。 上がレザークラフト用の細い針で下は僕が使っているのは手縫い針というものです。 僕は手縫い針No.3をよく使います。本当は更に細いNo.5とか使いたいんですがそこまで腕がありません。針は長い方が楽です。 手縫い針は先端が尖っているので自分で丸く削ります♪ 凄く脱線しました。すいませんσ(^_^;) 2 玉ネン フチをおさえるとともにフチに玉状の盛り上がりをつけます。 玉状なので特に加工はしていません。柔らかい印象になると思います。 断面を図で描くと一般的な玉ネンはこんな感じです。 ちなみにフロンティアのフチ捻と呼ばれている捻は形状的には玉ネンです。 このフロンティアのタマ捻をフチ捻に加工、、なんていうのもできない事はないです。僕も加工できますし以前加工して販売していた方もいますが多分もうやってないかもしれません? 大量生産という訳ではないので凄い大変な作業なんですσ(^_^;) 話もとに戻します。 僕の場合ですが、玉ネンはボリューム感があるように見せたい時によく使います。あとカードケースの入り口などの薄いパーツの装飾は玉ネンです。正確にはフロンティアのフチ捻です。 なぜかというとフロンティアのフチ捻以外は左右の段差があります。だから印をうまくつけることができないんです。 0.8mmとか薄い革に装飾を入れたいのであればガイドとなる方の高さを0.4mmとか削って段差を極力減らせば大丈夫なんですが、だったら最初から段差のないフロンティアのフチ捻を使えば良いと思います。 あと、玉ネンについては柔らかい印象になると言いましたがフロンティアのフチ捻に関しては先端の構造が特殊なので玉状の装飾でありながらエッジの効いた印象になります。つまり「特殊な捻」だと言う事です。 捻に関してはこのくらいであとはおまけです♪ ためたネタは書ききります(笑) 当たり前の事かもしれませんが表側のステッチラインを斜めにすれば裏は真っ直ぐになります。 ダレスバックの持ち手のところを作った際、両面とも斜め、両面とも真っ直ぐという技法で作ったのですが不慣れでかなり大変でした。もうやりたくないですし、一発で形になったのは奇跡くらいに思っています。 簡単に言うと組み立てたあと、両面から菱目打ちで印を付ける程度に穴を開けて丸切りで貫通させながら縫うだけです。 この上の部分の手縫いがその方法で縫いました。 左右駒が合うように菱目打ちをしました。 少しボコボコにあとがついてしまったのは駒が合わなかったり丸切りで上手く貫通させる事ができなくて何度も刺したりした時についた跡です。 また脱線しました。 初心者の方用の参考書だと表が真っ直ぐになる方法で書かれている事が多いです。 たまに使い分けをしますが、どちらかというと僕は表側が斜めな方が好きです。 日本の手縫い鞄の技法だと表側が斜めになると思います。 浅草橋で「バイブル本!」と言うポップをつけて販売している革屋さんもありましたよ。 凄く勉強になる本です♪ 最後に、 レザークラフト教室の生徒さんのネジねんを加工させていただきました。自分なりにベストだと思っている形状です。 最近のネジねんはやたらとぐらつくのでなんでだろう?と思って加工の都合上分解させて頂いたところ原因はすぐにわかりました。 こんな状態の付け根がボンドついているところまでしか刺さっていませんでしたσ(^_^;) あっ!そうだ! 教室に参加してくださっているTさん、、 五助屋レザークラフト教室受講歴あるんです。 教室で作ったカードケース見させて頂きました♪ ちなみに僕はまだお会いした事ありません(笑) 今年は東京にいく機会が多いので絶対遊びにいきます。よろしくお願いします(^_^)v まだネタがあるんですが次回にしようと思ったのですが、最後に1個だけ。 フェイスブックの投稿のコピペです。 Tandyのスーベルカッターを買ってみました。 日本では手に入らないのでアメリカのAmazonです。 Craft tool社時代の復刻版のような商品ですし、見た感じヨークの形状が僕が思っている理想の形状だったのですが理想ではありませんでした。凄く滑るので安定感があまりなくバレルの重さに対して重過ぎです。 あと、バレルのメッシングが甘いです。 でもヨークの旋回性能が思いの外よくブレも少ないです。慣れれば使いこなせるようになるかもしれません。ブレードもちょっとルージュスティックで研いだら良い切れ味になりました。悪くはないです。 Tandyの製品って台湾製が多いと思っていたんですが、これは中国製でした。でも悪くないです。中国製と一口に言ってもちゃんと作れるところは作れるんだな、、と思いました。頑張って欲しいですね♪ 長々と失礼しました。長文ゆえ誤字脱字失礼します。 こんな大変な時にバカなことも書いてます。くっだらない記事だな(笑)と、もし笑ってくださるのであれば本望です。 よろしければご覧下さい^_^ ↓カートショップサイト 即納品可能商品のレザーアイテムやビンテージ工具を販売しております。また、ご購入頂いた方には個別で技法などのご質問受け付けております♪
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by tkanno4649
| 2016-04-22 12:57
| レザークラフト工具
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